Vol.5 BCPな電気設計を考える

第3回 異なる視点でEOLはどう見えるか

部品がEOLとなったら何が起きるのか

部品がEOLとなったら何が起きるのでしょうか。そして、私たちはどのように対処してきたのでしょうか。
これまでを紐解いてみます。
一例を示してみると、生産管理部門が生産計画をたて、生産計画から購入量・期間を割り出した調達部門が該当メーカーあるいは代理店に受発注を行い、生産部品・部材の調達を行います。この時、メーカーあるいは代理店は部品メーカーより、生産継続可否の意向(情報)を受け、状況によってはEOL計画の通知を受けます。
この時点では部品生産は継続されているため、調達部門は商品の生産(企画)台数から発注量を試算し、過剰在庫にならないようにコントロールを開始するでしょう。

経営視点で捉えてみる

商品の生産台数をカバーできる数量の部品が調達できれば影響は少ないのですが、その商品生産台数が想定以上に増えたりすると大変です。
該当部品を使い続ける場合にはどのような状態があるのでしょうか

① 生産台数が想定以上に増える
初期設計の企画商品は終息しても、デザインを変えて中身は同じ・・みたいな商品があります。日本で設計した仕様を海外展開するなどいろいろな状況は考えられますが、結果として部品は使い続けることになります。

② 長期に生産を続ける商品がある
商品の中にはBtoCと呼ばれる商品:メーカー⇒最終利用お客様の場合と、BtoBと呼ばれる商品:メーカー⇒建材メーカーなどの業務用の場合があります。BtoB商品の場合、長期で生産する商品が多く、結果的に長く同じ部品を使い続けることにならざるを得ない場合があります。

図1 BtoBとBtoC

こうなると、部品メーカーはやめたいのに少量の発注があるため、単価が高額化したり長期生産に備えて買いだめ(在庫)したり、とにかく部品を長期に確保する必要があり経営を圧迫することになり得ます。
部品の生産があるならまだしも、災害など部品メーカーの工場が停止してしまった場合は、商品を製造することができなくなり結果として、販売機会を喪失=利益が確保できないことに至ります。
これらは一例ですが、経営上の大きな課題であることは明白です。

開発部門視点で捉えてみる

開発部門では、新機能開発だけでなく、VEが業務に浸透していることから新たな部品の採用活動を開発スキームの中に取り込んでいることが多いと思います。
部品の新規採用や部品変更に伴う回路設計変更は商品開発のスケジュールやリソース配分に織り込んでいるという意味ですので、ここまでは想定内なのだと思います。
部品のEOL対応は開発リソースとして織り込むことは、品質課題の発生の備えとしてリソースのリスクヘッジをしない(人員計画として織り込んでいない)現実と同様にリスクヘッジしないことが多く、想定外(本当は想定してる)のEOLは予定の開発スキームを圧迫することになります。調達から部品EOL対応の要請が突如、開発部門へ発出される事態となります。

どうする

このように突如と生産に支障をきたし、経営課題として開発部門に突きつけられるということはままあり、そのたびにあたふたとせざるを得ない迷惑なやつと捉えられてきた過去があるのではないでしょうか。
筆者も現役時代、調達部門から『部品入手困難が予測される、変えてほしい』と来る度に邪険に扱ってきたと反省しています。
今でこそ、経営課題として部門を超えた取り組みが必要と俯瞰できますが、現役世代では、
調達側:設計が対応してくれない。
設計側:部品調達は調達の責任。
こんな意識が色濃く残っているのではないでしょうか。

次回は、EOL課題を解決する考え方について考察してみたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。