Vol.5 BCPな電気設計を考える

第2回 EOL温故知新                

いまさらきけないEOLってなに

そもそもEOLはなぜおきるのか
EOL=End of Lifeは製造中止を指し、部品EOL情報は一般に製造メーカーが部品生産を中止する情報です。なぜEOLが起きるのか、その理由は様々です。ネガティブな理由では、生産設備が老朽化し作ることができなくなるなどやむを得ず生産を中止せざるを得ない事があります。一方、次世代の製造技術により小型化高性能化といった戦略的な仕様改変により旧来の部品生産から次世代部品生産へ移行するといったメーカーサイドのポジティブな理由の場合もあります。

EOLの時間経過と情報

図1 EOLの時間経過例

理由はどうあれ、市場に部品が供給されなくなる状態を部品EOLと定義します。部品が終焉を迎えるにあたり、部品メーカーの多くは様々な情報を発信します。
発信される情報は正規の通知だけではなく、無言の予兆のある時があります。
いつの間にかカタログの掲載がなくなったり、『新規採用非推奨』なる文言が部品仕様に添えられたり数年後に生産中止として通知が発出される事前情報です。
事前情報段階ではまだ生産が継続されているため、メーカーの営業担当からは、『まだ生産中であり供給に問題ない』と発言があるかもしれません。これは事実でありメーカーも販売しなければならないジレンマがあるため当然かもしれません。
部品EOLに対応するとは一種の情報戦かもしれません。
正確な情報を早くつかみ取り、戦略を持って効率かつ、効果的な手を打っていくことに他なりません。

部品EOLは迷惑な現象なのか

いずれにしても、部品を使っているユーザーからすると部品の調達ができなくなることになり、迷惑なことだと日頃思っている方々も多いと思います。
『迷惑』と意識した途端、部品EOLは誰のせいなのか・・とネガティブになりがちです。
部品の採用を担当する部門は、企業によっては品質部門や専任部門の場合があるかもしれませんが、多くは、開発部門ではないでしょうか。通常の開発業務に追われる傍ら、経営課題の名の下、EOLとなってしまった部品の代替化に奔走することになります。
理由はどうあれ、部品が供給できなくなってしまうのですから、代わりの部品に置き換えなければなりません。
場合によっては、なけなしの開発リソースを分割、集中し事態を打開しなければなりません。
この間、本来の開発も遅らすこともできないため、倍速で業務をこなす必要があります。
実際問題、倍速で業務をこなすなどできないので、時間で稼ぐ(つまるところ、残業や休日で頑張る)ことが過去多かったように思い起こされます。
このように捉えると、ネガティブな現象にしか見えませんね。
部品EOLをむしろ願ってもないことだとポジティブに捉えるには、この現象を戦略的にとらえる必要があります。

次回は、部品EOLという状態を経営視点と現場視点で深めてみたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。