Vol.5 BCPな電気設計を考える

第1回 技術者にとってのBCPとは何か

はじめに

みなさん、こんにちは。皆さんは『BCP』という言葉を聞いたことがあると思います。
BCPは《Business Continuity Plan》の頭文字をとっていますが、日本語では事業継続計画です。企業経営の持続計画とも見えるので雲の上のことのように見えます。
いろいろな立ち位置のBCPがあります。事業を継続するには、製造業ならば、商品を生産し市場に供給し続けることが必要です。開発部門は生産を継続するために担ってる部分が多くあります。その一つが、いろいろな理由により調達ができなくなったいわゆる『EOL』部品への対応です。
本コラムでは、部品EOLに焦点をあて、電気設計者の立ち位置から考え方や行動指針、効率的な対処について考えていきます。

電気設計におけるBCPとは

いきなり、BCPという壮大な話題を振りましたが、改めて、企業における事業継続を経営者の話、別世界の事だと思い込んでいませんか?

図1 BCPのイメージ

BCPは災害等が発生したときに、如何に生産を継続し続けるかの計画として定義されています。事業を継続するための要因は多岐にわたります。従業員の安全(確保)、材料の調達、設備の復旧・保全などなど。
どうみても開発部門とは別世界のことのように見えますね。
視点を変えてみましょう。
モノを造って、お客様に購入していただき喜んでいただくためには、その昔より言い伝え?があります。
『正しい部品』『正しい工具』『正しい作業』
直接的には、調達部門、生産技術、製造部門と言い換えることができます。しかしながら、源泉は開発にあることは容易にわかります。
これらをデザインするのは開発部門であるのは間違いありません。
言い換えると、事業を継続するための源泉である『モノ:商品』を良い状態でお客様にお届けし続けるためには、その源泉部門である開発が十分考慮した設計がなされていないと、事業継続ができなくなるリスクを負ってしまうと言うことになります。

BCPを考慮すると言うことと部品EOL

BCPをなぜ考えなければならないのか。開発部門において直接的には、どのような素性の部品を選定するのかにより、災害や世界情勢の影響を受け、部品の入手が困難になってしまうことがリスクとして常に存在していることが挙げられます。
部品が終息してしまうことを『部品EOL』と呼んでいます

EOL:End of Life

部品EOLの発生は災害だけが原因ではなく、いろいろな理由があります。
生産の効率化を目的とした部品種の削減だけでなく、メーカー事態の統廃合などを起点としてまずは販売終了(EOS)となり、最終的にサービスの終了(EOL)を迎えます。
ソフトウェアーの場合はEOS ⇒ EOLと保守期間がありますが、部品の場合はいつの間にか市場から姿を消し、気づいたときにはいきなりBCP問題に発展するということにもなりかねません。

図2 EOSとEOL

いつもそこにある部品EOLの課題は『ネオBCP』とも言えるかもしれません。
タイムリーなEOL対応だけでなく、関連部門と連携した採用戦略や効率的で先を読んだ採用活動など情報・ディジタル戦略が核心だと考えています。
本コラムでは、電気設計の立ち位置から、いつも身近で発生している部品EOLについて単なる邪魔者ではなく、電気技術者のプロフェッショナルとしての流儀を持って如何にプレゼンスを示すツールに置き換えてくかについて一緒に考えていきます。

次回は、部品EOLを少し深読みしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。