モーデックが過去に実施したコンサルティング、モデリング、
設計支援の実績の一部を抜粋しています。
EMCシミュレーション解析事例
EMCシミュレーション解析事例を、図2に示すFET基板のノイズ解析事例を用い、表1の回路素子が No.1(理想回路モデル)・No.2(等価回路モデル)・No.3(FETモデルがデバイスメーカ提供モデルと弊社製モデルの場合)の3つの組合せについて、回路シミュレーションでモデル差異によるリンギング再現性を比較した場合と、更に基板3Dシミュレーションを用いてリンギング状態を可視化し適切な対策方法を導出した事例について解説します。
回路シミュレーションによるデバイスモデル比較
図2のFET回路において、表1のNo.1-3のデバイスモデル組合せによるFET ON/OFF波形を図3に示します。その結果、
- 受動素子が理想回路モデルの場合は、FET OFF時のリンギングを再現できていません。
- メーカ提供FETモデルに比べて弊社製FETモデルのリンギングが大きく再現できています。
- また、FETのターンオン/オフ時間(tr/tf)が弊社製FETモデルでは短く再現できています。
このように、EMCシミュレーションにとってデバイスモデルの特性再現性は大変重要です。 弊社はデバイスモデル専門ベンダーとして、良好なEMC解析用デバイスモデルの提供と合わせて、お客様のご要望に応じたEMCシミュレーション解析支援が可能です。
電磁界3Dシミュレーションによるリンギング原因解析
図4の基板電磁界3Dシミュレーションを実施し、図5のような結果が得られました。
リンギング周波数が30MHz(図5(b))でしたので、当該周波数の電界分布を可視化し、B面に配置された放熱パターンの共振(図6)が原因であることが判明しました。
よって、対策として図7で示す位置にスナバ回路を追加することにしました。
図8がその対策結果です。
リンギングがピタリと収まり、30MHzノイズスペクトルを完全に消すことができました。
まとめ
以上のように、電磁界3Dシミュレーションによってノイズの伝搬状態・共振の様子を可視化することで、原因の特定と、抵抗とコンデンサ各1個だけを追加するという低コストな対策を試作レスで実現することができました。
本事例は、FET素子が1個だけの単純な基板のEMC解析事例をご紹介しましたが、解析対象が車両規模であっても電磁界現象に変わりありません。
モーデックは、単にソルバーの操作方法やモデリングノウハウの支援に留まらず、電磁界の物理的現象から適切なEMC設計の仕方についてもサポートさせて頂きます。