精度の良い回路シミュレーションのためには、回路に使われている各デバイスの特性を忠実に再現するモデル作製が重要になります。それらのモデル作成には、まず誤差を除去した高精度なデバイスの測定データを準備する必要があります。下記表は、高精度なデバイス測定の為に必要となる測定器と測定のノウハウを示しています。モーデック社には、これらの専門的な知識と経験が持つエンジニアにより、デバイスモデリングのための高精度測定を実施しています。またカスタムのデバイス測定サービスも提供しています。

治具の影響を除去したコモンモードフィルタのSパラメータ測定例を紹介します。

表2. 高精度なデバイス測定の為に必要となる測定器と測定のノウハウ

Sパラメータ測定事例紹介

●ディエンベッド処理について

測定したSパラメータから不要な治具特性を除去するために行うのがディエンベッド処理です。図1でネットワークアナライザを用いて、ケーブルの先端で校正を行うことにより、高精度な被測定デバイス(DUT②)+治具特性①が測定できます。DUT②のみの測定結果を得るために、治具Saと治具SbのSパラメータを求め、その逆行列を作成し、測定データ①の外側から掛け合わせます。[Sa]‐1*[Sa]=1という逆行列の定義により治具の影響を計算で除去することにより、DUT②のみ測定データを求める事ができます。

図1図1. ディエンベッド処理の概要

● 治具の影響を除去したコモンモードフィルタの測定

USBやHDMI等のデジタル通信で使用されるコモンモードフィルタのSパラメータ測定するため、上図のような治具を作製し、治具込みのSパラメータをネットワークアナライザで測定しました。治具のSパラメータを求めるため、別にスルー治具を作製し、分布線路で治具のモデル化を実施しました、図2。

ディエンベッド処理により測定データから治具特性を除去し、コモンモードフィルタの特性を導出した結果を図3に示します。これにより、治具の損失と結合特性を省いたコモンモードフィルタの真の特性を得ることができました。

図2図2. 治具の等価回路モデル
図3. ディエンベッド処理を用いた治具特性除去例 図3. ディエンベッド処理を用いた治具特性除去例

モーデック社では、様々な技術を組み合わせる事によりデバイスの高精度測定を実現するソリューションをご提供できます。