モーデックNews Vol.12でお伝えいたしました弊社の独自コンパクトモデルであるHV-LDMOSモデルの研究開発に関する途中経過をお知らせいたします。
本モデルは、高耐圧MOSFET(HV-MOS、LDMOS, DMOS)の高精度コンパクトモデル用として、弊社研究部門取締役 Dr. Zhiping Yuの指導の下、中国 精華大学大学院にて開発しております。
多くの市販シミュレータがサポートするVerilog-A言語を用いて記述しているため、皆様も容易にご使用することができるモデルとなっております。
弊社HV-LDMOSモデルの最大の特徴は、高耐圧MOSFETで生じる自己発熱シミュレーション速度と収束性の大幅な向上です。高耐圧MOSFETで構成された回路では、その効果は更に大きくなります。
通常の高耐圧MOSFETモデルでは、自己発熱モデルとして、サブ回路(熱抵抗と熱容量により構成された回路ネットワーク)を結合しております。
このモデルでは、デバイスで生じる電力とサブ回路ネットワークの間で、発熱による温度上昇が定常状態になるまで数学的な繰り返し処理が実行されます。
この処理は、原理的にシミュレーション速度を遅くし収束性を劣化させます。
回路によっては、自己発熱モデルを使用した場合、収束しないことも多く見られます。
弊社では、このようなサブ回路ネットワークを必要としないアナリティカルモデルを開発し、新しい自己発熱モデル式としてHV-LDMOSモデルへ組み込んでおります。
その結果、シミュレーション速度と収束性を向上させることに成功いたしました。
もちろん、自己発熱効果の精度は劣化させておりません。
現時点では、DCと時間領域において、その効果を確認しております。
今後は、周波数領域への拡張とシミュレーション速度の更なる向上を達成する予定です。
完成後は本メルマガでもいち早くお知らせいたしますので、どうぞご期待ください。
また、皆様が開発、使用されているデバイスにおいて新モデル開発のご希望などもお寄せいただければ幸いです。