事例

モーデックが過去に実施したコンサルティング、モデリング、
設計支援の実績の一部を抜粋しています。

数値化ソフトウェアRODEMの活用事例

一般財団法人中部電気保安協会

業務上発生していた課題について

高圧6,600ボルトの電気設備は機器類の経年劣化故障や落雷・台風などの自然現象で損傷、樹木や鳥獣の接触などの様々な原因により地絡故障に至り、停電事故が発生する。こうした停電事故対応では原因を素早く究明して故障箇所の早期復旧をする必要があるため、30年以上前から全世界で研究や調査が行われてきたが、故障波形から原因を究明する方法は未だ実用化には至っていない。中部電気保安協会はこれまでに収集した地絡故障の零相電流データ数百件を新たなAI手法で解析するために紙のグラフで保存されていた波形データを、①時間をかけず、②正確に、③低コストで、量子化する必要があった。

人財・技術開発センター武村順三様
中部電気保安協会人財・技術開発センター(正面入り口)中部電気保安協会人財・技術開発センター
(正面入り口)

グラフの特徴について

地絡故障により生じる零相電流の波形は、主に①正弦波、②三角波、③針状波などの特徴的な様相ではあるが①〜③がミックスされる場合もある。またこれらデータ大きさ(Y軸方向)は一定でなく不安定な振幅となり、サンプリング時間(X軸方向)も数マイクロ秒〜16.7ミリ秒と一律ではなく、かなり複雑な様相を呈している。過去から取得してきたデータは紙で保存されていたため線分の粗さや解像度の悪さなどを補正する方法も課題であった。

取り組み内容と手順

紙グラフをスキャナで電子データに変換(.jpg/.bmp/.pdfなど)。その後RODEMにより画像を量子化(.CSV)データを取得。独自のPythonプログラムで目盛り(X/Y軸のスケール)を正規化したグラフ作成:データクレンジング(グラフ再構成)した後、作成したデータを教師データとしてAI(機械学習ML/深層学習DL)による故障原因の推定を実施。
実際に利用されたグラフの例を図1~4に⽰す。

図1 正弦波のような形状の零相電流波形
図2 三角波のような形状の零相電流
図3 針状波のような形状の零相電流
図4 正弦波と針状波をミックスした形状の零相電流

RODEM導入の効果について

RODEMには優れたグラフ自動検出機能があるため、人が作業にかける時間が非常に短く済んだ。またマウスによる手作業で調整する機能もユーザビリティに優れていて、感覚的に作業できるため、誰でも同じように高い精度でグラフの量子化ができた。プロジェクト管理機能により、一度量子化したデータも後で修正できることの恩恵も感じている。さらに既述のとおりX/Y軸方向デー
タの大きさが一律ではないものの、RODEMの優れた目盛り合わせ(スケーリング)機能によって正確にグラフを量子化(.csvデータを取得)できたので、効率的にAI解析を実施することができている。

RODEMへの改善要望

正確に元画像をトレースして量子化するために24インチ以上の大型モニターを購入しましたが、これは必須アイテムとなりますのでカタログなどの注意書きに記載していただくと助かります。

中部電気保安協会人財・技術開発センター(ドローン撮影)中部電気保安協会人財・技術開発センター(ドローン撮影)