1/fノイズについて

ノイズの種類

電子デバイスから発生するノイズ(雑音)には以下のように様々な種類があり、1/fノイズもその一種です。

  • 熱雑音(ジョンソン・ノイズ、ジョンソン・ナイキスト・ノイズ、ホワイトノイズ)
  • ショット・ノイズ(こちらもホワイトノイズの一種)
  • バーストノイズ(ポップコーン・ノイズ、ブラウニアンノイズ、レッドノイズ、ブラウンノイズ)
  • 1/fノイズ(フリッカノイズ、ピンクノイズ)

発生原因と特徴

電子デバイスのノイズとは、電気信号に対して起こるランダムな特性変動を指します。 特にその中でも、1/fノイズはパワースペクトル密度が周波数に対して反比例するノイズであり、ほぼ全ての電子デバイスで発生します。
なぜ、周波数に反比例するかに関しての明確な科学的根拠は解明されていませんが、 半導体素子における空乏層内の不純物、格子欠陥、ダングリングボンド、酸化膜-シリコン界面の格子ミスマッチなどが原因で、ランダムなキャリアトラップが起こっているのが主因であるところまではわかっています。
また、その原因がキャリアトラップであるため、電流を流すことによりはじめて観測されるノイズであり、電流値が大きい、すなわち流れるキャリア量が大きい方がより顕著に観測されるという特徴を持っています。

注目が高まっている1/fノイズ

1/fノイズは様々な電子デバイスにおいて問題となりますが、特にイメージセンサーなど低周波で動作する製品に対して大きな影響を与えます。 近年の半導体製造プロセス微細化や電子製品の低消費電力化に伴い、動作電圧が低電圧化しており、信号振幅の低下も著しくなっています。 ゆえに、電気信号のS/N比の劣化が顕著になってきており、製品動作に対して1/fノイズが与える影響は大変大きいものになっています。 1/fノイズによる製品の誤動作を抑制するため、素子そのものの1/fノイズの低減や1/fノイズを考慮した電子部品の設計が求められています。

サービスの内容※ノイズの測定は実施しておりません。

1/fノイズモデリング

BSIM3,4やHiSIM2の1/fノイズモデルは、パラメータ値のコンビネーションによっては回路シミュレーション時に非現実的な振る舞いを示します。弊社では、そのようなことがおきない最適なパラメータのコンビネーションを抽出します。
また、サイズ依存を十分に考慮し、1/fノイズサイズ依存モデル式では追随できない部分について、不連続が生じないビンニング手法を適用します。
他社の抽出サービスでは、弊社で実施しているような十分な測定や検証が行われていないことも多くあり、回路でのノイズシミュレーション結果が測定値と大きくずれるというお言葉をよくお聞きします。
デバイスの持つ真の1/fノイズに関する測定とモデリングをご希望される方や回路での高精度ノイズシミュレーションをお考えの方は、是非とも弊社の1/fノイズモデル作成サービスをご検討ください。

※モデル作成用の実測データはお客様からご提供いただきます。

サービスのご利用方法

1/fノイズモデリングサービスの流れ

お客様にて実測されたノイズ測定データをご提供いただきモデルを作成します。まずはお問合せください。モデリングスタッフが直接対応いたします。

お見積りに必要な情報

  • 対象デバイス
    例)MOSFET、BJTなど
  • 測定条件
    例)バイアス条件、温度、周波数範囲など
  • 希望納期

実績

CMOSデバイスモデリング(0.13μm CMOS)の例

達成実績

使用デバイスサイズ、バイアス、周波数における1/fノイズ電流密度のフィッティング精度において±1dB以内

測定&モデリング結果:PチャネルMOSFET測定とシミュレーション例 (Vds = -3V)

OPアンプによる回路検証の例

達成実績

回路におけるノイズ特性誤差 ±15%以内