Vol.37 デプレッション型MOSFETモデル開発のお知らせ

2009.09.22

ご存知のように、デプレッション型MOSFETはゲート酸化膜の下に不純物を導入して最初からチャンネルを形成しているため、ゲート電圧を加えなくてもドレイン電流が流れます。一般的なCMOSコンパクトモデル(BSIM3、BSIM4、HiSIMなど)を使用して、しきい値電圧を下げることによりある程度のモデリング精度を確保することはできます。しかしながら、酸化膜下の不純物濃度によってはモデリング精度を確保することが困難になってくることはよく知られております。
これは、あらかじめ形成されているチャネルと反転層によって生じるチャネルの電気的な振る舞いが異なるためです。

モーデックでは、このような問題を解決したデプレッション型MOSFETのマクロモデルを開発いたしました。弊社のデプレッション型MOSFETモデルを導入することにより、これまで使用バイアス領域のみに絞ってフィティングしていたモデルを全バイアス領域で使用することが可能となります。デプレッション型MOSFETの動作特性によっては、ジオメトリのサイズ依存や温度特性などをモデル式に組み込みファンクションモデルとして使用することも可能となっております。
また、コアモデルとして業界標準モデルであるBSIM3も利用できるため、回路での収束性が良い実践的なモデルとなっております。
更に、弊社のモデルパラメータ抽出ツール(MoDeCH Extractor)を使用すれば、モデルパラメータの抽出からデプレッション型MOSFETモデル構築までが自動的に行えます。

是非、設計効率向上のために弊社のデプレッション型MOSFETモデル導入をご検討ください。また、デプレッション型MOSFET以外のデバイスにおいても、新モデル開発のご希望などがございましたら、その内容をお寄せいただければ幸いです。