実際の電子回路には回路シミュレーションに予め用意されているデバイスだけで構成されているわけではありません。いくつかの代表的な例を記載します。

回路図上には無い部品、電気系以外に係るモデリング

コレクタやスイッチ、ヒューズなど、回路図としては単純にショートあるいはオープンで表現させている部品もモデリングが必要な場合があります。

また、電気系だけではモデル化するものが難しいもの代表的なものとして、物理量を電気量に変換するセンサや電気量を機械的動作に変化するモータやアクチュエータなどがあります。電気量を光量に変換するLEDはダイオード特性をモデリングしただけものが多いですが、精密なモデリングが必要な場合、波長依存性や発熱による変動なども考慮する必要があります。

このような複数の物理系に跨るモデリングには機能記述言語であるVHDL-AMSが良く使われます。詳しくはモデルベース開発参照

図1 LEDに外部から温度変化を入力した際の特性変動をモデリングした例 図1 LEDに外部から温度変化を入力した際の特性変動をモデリングした例

システムレベルシミュレーション

システムレベルで考えるとバッテリーの持続時間を予想する場合などでは電源は理想電源ではなくバッテリーとしてモデル化する必要があります。また、モジュール間を接続するワイヤハーネスも電圧ドロップや回り込みの防止ためにモデル化することが要求されています。

このようなモデル作成にはSPICEだけに限らず、VHDL-AMS,Verilog-AMSなどの機能記述言語を使用することも可能です。

図2 システムレベル・シミュレーション例(三相BLDC制御システム) 図2 システムレベル・シミュレーション例(三相BLDC制御システム)

IBIS モデルの概要

IBISモデルは、動作速度の高速化により、信号の遅延・損失・反射・リンギング・クロストークなどの問題が顕在化してきたため、ドライバ / レシーバ間の伝送経路シミュレーションが不可欠となり、利用されるようになりました。

つまり、ドライバ / レシーバ間を単純に線路で繋ぐだけでは、信号が思ったように通らずエラーとなってしまうので、シミュレーションにより伝送経路を最適化するために使われます。

当社では、ドライバ / レシーバ間の伝送経路を設計・解析・シミュレーションするためのソリューションとして以下の3種類を用意しております。

キーサイト・テクノロジー社リアルタイム観測点移動技術ベースソリューション

オシロスコープは信号品質を観測するために必須の測定器です。主に、基板が出来上がった後に評価、解析などで使用されることが多いですが、観測点移動技術を使えば、伝送経路の設計段階から有効活用することができます。

実機ICの実測とデータシートからIBISモデルをご提供

本ソリューションは、実測からIBISモデルを生成するため精度は向上しますが、最低1ヶ月の工期を必要とします。また、測定系のセットアップや測定エンジニアを必要とするため、その分の費用が必要となります。

高速デジタルの測定をバックアップするツールとして、モーデックはDUTに対してあらゆる方向からプロービングできる「全方位プローバー」を販売しています。

<実機を測定してベンダーIBISモデルを改良した例>

ICベンダーとの連携からIBISモデルをご提供

理想的には、ICベンダーから品質の良いIBISモデルがエンドユーザーに提供されることが望ましいです。
しかしながら現実的には、ベンダーが提供するIBISモデルはあくまでも部品販促用であり、全てのユーザーを満足させるモデルがタイムリーに提供される体制は長年に渡り確立できておりません。
これは、ベンダーが提供するIBISモデルは無料であるため、十分なスタッフをIBISモデル作成に配置できないという根本的な問題が存在しているためです。
エンドユーザーの要求とベンダーの問題を解決するためには、当社のような外部モデリング会社がベンダーと密に連携するしかないと考えており、当社では各種ベンダーとの協議を進めています。
ベンダーとの連携を確立することにより、当社は、タイムリー+安価+高品質 なIBISモデルを提供いたします。